強がりではなく、それは…


雨の中で、彼はずぶ濡れで立っていた。

いつもの白い肌が、今は更に青白くなっている。
きっと彼の体温は、酷く冷たいのだろう。
服の色が、いつもよりも濃くなっている。
水を吸い込んで、随分と重くなっていそうだ。

少し遠い位置で彼を観察していると、光のない瞳が、ふとこちらに向けられた。
明らかにこちらに気付いたはずなのに、表情はひとつも変わらない。
暗い、闇のような瞳。
あの瞳はもう、何の役割も果たしていないのだろうか。

そっと歩み寄ってみると、視線が外された。
その少しの動きで、頬に一筋、雫が流れる。
雨で彼は濡れているのに、その一筋は雨よりもずっと透き通っていた。

彼の頭を胸に引き寄せる。
子供を宥めるように、そっと髪を撫でた。
それでも、彼は縋り付こうとはせずに、

「…見ないで下さい」


小さな声で、呟いた。

雨の音が、すぐにかき消す。

どんなに傷ついても、痛くても、辛くても、
彼は、それを見られることが惨めなことだと思うのだろうか。

慰められることも、惨めだと感じるのだろうか。


それでも、俺は、



「何を言っている。

 雨が降っているだけだろう」



慰めることしか、できなかった。

+++


何だコレ←書き終わって第一声。
よりによってこんな時期(12話後)にするネタじゃないですよね…ごめんなさい;

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